小児皮膚科 各症状

おむつかぶれ

多くのお父さん、お母さんがお子さんのおむつかぶれの心配をしたことがあるかと思います。外出時のおむつ替えのタイミング、離乳食開始による便の状態の変化、お子さんのおなかの調子など、ちょっとしたきっかけで日々よくなったり悪くなったりを繰り返すこともあるでしょう。皮膚科医の診察では、カンジダなどの真菌症との鑑別や最も状態に影響している要因は何かなどを確認し、通園なども考慮した上で、適切な塗り薬の使い方をお伝えしています。

あせも

たくさんの汗をかいた部分、とくに皮膚の重なるところや関節内側に、透明な微小水疱がみえたり、軽い炎症を起こして赤みを帯びてかゆみがでることがあります。お子さんが掻いているうちに湿疹になり、とびひのきっかけとなることもあります。
最近は冬場でもあせもがでている乳幼児をみかけます。保温性の良いダウンジャケットを着て、ベビーカーの保温シートやブランケット、抱っこ紐などを重ねて使用していると、気が付かないうちにじっとりと汗をかいて、帰宅後には体幹の広い範囲にあせもがでているようです。
汗をかいたら、外出先ではやさしく濡れたタオルで拭いたり、毎回洗浄剤を使わなくてもよいのでお湯でさっと汗を流し、夏場も汗の刺激から皮膚をまもるため、さっぱりとした保湿剤でスキンケアすると効果的です。

みずいぼ

みずいぼはウイルス感染症であり、子どもたちが肌を露出する機会が増える、夏季に発症することが多くなります。からだや四肢に1-3mmほどの光沢のある点状の発疹がぽつぽつとでています。軽いかゆみがあることも多く、お子さんが知らずに掻いていると数が増えてしまいます。半年~1年ほどで自然消退するものですので、ひとつ残らず全てを摘除しなければならないことはありませんが、なかなか消えなかったり、水遊びに配慮を必要とする場合や、お子さんの肌質によっては積極的に摘除をしていくことがありますので、一度皮膚科医を受診しましょう。

とびひ

とびひの原因は細菌感染症で、乳幼児・学童に、夏季に発症することが多くなります。細菌が感染した皮膚に水疱ができ、すぐにやぶれてじくじくしてきます。水疱の中に細菌の毒素がいますので、周囲に接触してまたとびひしていきます。はじまりは、かゆみがある部分をお子さんが掻いているうちに感染を起こしてしまうことが多く、虫刺されやあせもなどの夏場におこる皮膚トラブルを、適切に対処しておくことが予防になります。とびひになると、登園登校時の注意事項もありますので、すぐに受診しましょう。
治療は抗生物質などの外用薬をつかって患部をしっかり覆う処置を数日行い、きちんと治っているかどうかも医師の診察が必要です。

虫刺され

お子さまが蚊に刺された場合、刺された翌日以降に思いのほか赤く大きく腫れてしまったり、水疱ができてしまうなど強い反応がみられることが特徴です。生まれてすぐの時期より、幼児期~学童期になってからの方が、刺された直後の膨れや、この翌日から数日間の発赤が強くなる時期がみられますので、「虫刺されの様子が去年と違う」と心配になる方もいます。
虫よけだけではやはり刺されてしまうことが多く、虫刺され予防のために薄手の長袖長ズボンやハイソックスを上手に使い、服の上からでも虫よけを使用するなど、皮膚が露出されない工夫や、夏の朝夕刻の刺されやすい時間帯などは油断せずに予防策をとってみましょう。
小さなお子さまはかゆみを我慢するのがむずかしいため、しきりに掻いてしまった結果、細菌が付着し、ジクジクとしてとびひの原因になることがしばしばです。虫刺されはできるだけ早くかゆみと炎症をおさえてあげるために、状態によってはステロイド外用薬などのお薬が処方されることがありますので、皮膚科受診をなさって下さい。

みずぼうそう

みずぼうそうは水痘ウイルスが原因で、感染から2週間程度の潜伏期の後に、発熱や倦怠感をともなってかゆくて、周囲に赤みを帯びた水疱が全身にでてきます。水疱はだんだんと白い膿疱となりかさぶたへと変化していきます。治療は抗ウイルス薬の内服があります。
ウイルスは空気感染しますので、患者さんはできる限り別室で安静にしていただくのが最善です。
学校保健安全法により、水ぼうそうと診断された場合には、すべての皮疹が痂疲化する(かさぶたになる)まで 学校はお休みしましょう。

りんご病

りんご病はヒトパルボウイルスによる感染症です。発疹のでる1週間程度前に微熱や感冒のような症状が出ていることが多く、頬にはっきりとした赤み、腕やおしりまわりなどにも赤い発疹がでてきます。このウイルスの治療に特別なお薬はありませんので、症状の経過をみまもります。皮疹が出ていても、全身状態がよければ登園・登校可能です。

手足口病

手足口病はウイルス感染症で、口の中、四肢末端にちかいところ、おしりに赤みを帯びた水疱がでてきます。軽い発熱があったり、口の中が痛くて不機嫌が続くことがあります。通常は特別なお薬はありませんが、
食べるのを嫌がるため、刺激がないなめらかなものを少量ずつこまめにあげるなど、脱水症状が出ないよう注意が必要です。
全身状態がよければ、登園・登校は可能です。家族内でも感染予防のうがい、手洗いを十分行いましょう。

こどものスキンケア

皮膚をずっと、よりよい状態に保っていくために、清潔にする、保湿する、紫外線対策をすることがスキンケアの基本です。
皮膚の洗浄は、ぽろぽろ垢が落ちていくのが目に見えるほど擦り落とすことではなく、「泡やお湯を介して表面に付着した余分な皮脂と汚れ物質を洗い流す」イメージで行ってみましょう。
小児の皮膚は3歳くらいまでに成人と同じ構造に発達しますが、皮膚の機能的にはそれほど高くなってはいません。皮膚の水分量は少なく、乾燥しやすく、外からのさまざま刺激にも弱いので、皮膚炎がおこりやすいといえます。そのためアレルギーや皮膚トラブルがない体質のお子さんでも、湿疹が繰り返し出る部分があったり、毎日保湿剤をぬってあげていたほうが調子良いというのは、特別なことではありません。
最近は保湿剤やUVクリームの種類も豊富で、どんなものを塗ったらいいのか、季節によっても使いやすさは変わりますので皮膚科専門医と一緒に選んでみるのもよいと思います。
おうちにいることが中心だった乳児の頃から、だんだん成長すると幼稚園、小学校へと活動の場が変わり、お子さんのライフスタイルが変化することは、皮膚のコンディションに影響します。「今までこんなことはなかったのに。」という心配にとらわれず、今のケアの内容や心配な点を皮膚科医に相談し、年齢や季節など生活様式にあったスキンケアのアドバイスお受けになるとよいでしょう。毎日継続できる方法、そしてなによりお子さんご自身が「心地よい」と感じられるスキンケアの方法を見つけ、長い目でみると次第にお子様自身がその必要性を感じ、スキンケアの習慣が育っていくことが一つの目標となります。